会長挨拶

 

ご存じのように2019年頃より地下建設工事に伴って,安全・安心とはいかない心配な事象が頻発しております.このような事象の背景にあるのが,各種の地下建設プロジェクトにおける計画,設計,施工の現場と学術研究との乖離ではないかと心を痛めております.

一般社団法人気泡工法研究会は,大学を中心にコンサルタント,建設業者,専門業者,材料メーカーなどの企業が協力して,気泡や高吸水性ポリマーを用いた地盤掘削工法(総称:AWARD工法)にかかわる基礎研究・応用研究・工法開発を推進し,工法の技術レベルの向上,技術の普及により社会貢献を果たすことを目的としています.すなわち,この研究会は近年もてはやされている大学発ベンチャーの先駆的なモデルケースと言えるものであり,大学での研究成果で生みだされた特許技術をもとに具体的な建設分野における市場創設を実現したものであります.

AWARD工法は,地下連続壁,基礎杭,地盤改良,シールドトンネルなどを含む各種の地下建設工事における合理的な施工を実現するとともに,環境負荷と施工費用を低減させるきわめて付加価値の高い有用な工法であります.今後とも,大深度地下を含む生活基盤の拡充,産業基盤施設の防災による国土の強じん化に向けて,この工法のさらなる研究・開発活動を活発に展開し,その技術の普及を積極的に推進していく所存であります.なにとぞ,幅広い分野からの強力なご支援を賜りますようお願い申し上げます.

 

令和4年8月吉日
一般社団法人気泡工法研究会
会長 赤木寛一
(早稲田大学理工学術院 教授)